5.タントリズムとヨガ

このページでは日本農業経営大学講義内容の一部を公開しています。

タントリズムとヨガ

5Cに入るとフン族がインドに侵入し、グプタ王朝が崩壊する。この600年~1200年にかけて仏教、ジャイナ教は衰退し、ヒンドゥー教が成長していく。そのひとつが「タントリズム」である。

タントラは特定の学派でも、思想体系でもなく、その思想潮流は様々な側面で現れるため定義が非常に難しい。しかし、現在我々が実践するヨガの練習の中にそのタントラの思想潮流を見る事が出来、「マンダラ」「ヤントラ」「チャクラ」「ムドラ」「マントラ」「ナディ」などが挙げられる。

タントリズムの特徴は、ウパニシャッドに代表される大宇宙と小宇宙の同一性(ブラフマン=アートマン)の思想に基づいて生前の解脱を目指し、現世を肯定した新しい思想であった。またこのタントリズムは仏教における密教でも見る事が出来る。(京都にある東寺の立体曼荼羅)

 

 

<ナディとチャクラ>

大宇宙と小宇宙の同一視(ブラフマン=アートマン)からくる考え方。宇宙の生命力はプラーナ(呼吸)となって身体の中を循環しナディの中へ流れチャクラへと集約される。ナディは背骨の内側にあるスシュムナナディ、右の鼻の穴は(交感神経)シヴァエネルギーで、赤色で猛毒を持つピンガラーナディ、左の鼻の穴は(副交感神経)月性を持ち、白色で甘露ソーマの性を有するシャクティエネルギーのイダーナディの3つが重要とされ、これらはインドの三大聖河サラスワティー、ガンガー、ヤムナーを象徴している。

これらのナディは全てムラダラチャクラのあるムラバンダの位置にて交差している。(このシャクティーエネルギーは「宇宙、生命の原動力」とも考えられている。)このムラダラにはメスの蛇の見た目をし、三回転半とぐろを巻いたクンダリーニがいるとさる。

 

チャクラはそれぞれ特殊な蓮の形を成して脊椎にそって成し、基底部のムラダラチャクラから頭頂部のサハスラーラまで7つある。私たちの身体の基盤はムラダラにあり、脊椎を支えている。

ヨガの練習により、このクンダリーニ女神を呼び覚まし、スシュムナナディにそって上昇し、全てのチャクラを通ってサハスラーラにいるシヴァと神秘的結合を成し遂げた時ソーマが流出し、解脱に至るとされている。

 

<チャクラ>

  • ムーラダーラチャクラ

位置:骨盤底筋群

色:赤

音:LAM ドの音

性質:安定感、私たちの基盤となるエネルギー。

乱れると自尊心が低下し、自己中心的となる。

方法:スタンディングポーズ。

グラウンディング、体を大地と繋げていく。

 

  • スワディシュターナチャクラ

位置:下腹部(おへそと性器の間)

色:オレンジ

音:VAM レの音

性質:創造力、クリエイティビティーを司り、

安定すると、様々なインスピレーションが湧いてくる。

乱れると情緒不安定、性におぼれる、原因不明の罪悪

感を感じるなど。

方法:股関節を開くポーズ(HIP OPENING)

 

  • マニプラチャクラ

位置:みぞおち、胃のあたり

色:黄色

音:RAM ミの音

性質:感情を消化し、自他を尊ぶエネルギー。

安定すると共感する力や自発力が上がる。

乱れると孤独や他人の目を気にしたり、怒りっぽくなる。

方法:ツイストと前屈

 

  • アナハタチャクラ

位置:胸

色:緑

音:YAM ファの音

性質:未来に向かって行くエネルギー。無条件の愛。

安定すると、自分と他人を思いやる無償の愛が。

乱れると条件付きの愛、独占欲や、愛しすぎて自分に

自信のない状態、また自分が可哀想になったりする。

方法:後屈

 

  • ヴィシュッダチャクラ

位置:のど(首の付け根)

色:青

音:HAM ソの音

性質:コミュニケーション、自己表現を司る。

また浄化の力も強く、耳とも関係がある。

安定すると、人の話を理解し、自分自身の心を表現し

理解し合える。

乱れると、考えと行動の矛盾やひとりよがりになる。

まったくしゃべらなかったり、しゃべりすぎたりする。

方法:呼吸法、サットサンガ、ショルダースタンド

 

  • アージュナーチャクラ

位置:眉間、第三の目

色:藍色

音:KSHAM OM ラの音

性質:直感力、洞察力を司る。

安定すると、今自分が何をするべきか直感力が湧き、

物質に執着せず、カリスマ性があがる。

乱れると、権威主義になったり、頭がリラックスしな

い状態となる。

方法:瞑想、ツイストした後のバランスポーズ、

チャイルドポーズ

 

7. サハスラーラ

位置:ひゃくえい、頭頂

色:紫、白、金

音:AUM シの音

性質:神聖なもの、宇宙と繋がる力。

安定すると、限りなく安らかな内面、魅力が湧き、

しようと狙ってするのではなく自然に偉業を成し遂げる

乱れると決断力が鈍り、病的、躁鬱、慢性疲労などの

状態になる。

方法:瞑想、ヘッドスタンド

 

*現代のヨガ

こうしてヨガはインドにおいて、哲学的思惟の芽生え、あるいはそれ以前の土着の風習にはじまり、様々な宗教、哲学、思想と共に発展してきた。人間が、自分たちの存在意義を考え、宇宙のはじまりを知りたがり、どう生きるべきかを考えた深い歴史と知恵がヨガには詰まっている。ヨガの知識を知り、練習を実践する事は、現代を生きる私たちにも人生、この世界に対する良いインスピレーションを与えてくれるだろう。

 

 

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