4.後期仏教/六派哲学とヨガ・スートラ

【後期仏教とヨガ】

4Cグプタ王朝の頃になると、非正統バラモンである仏教は勢力を弱めていく。この頃の仏教を後期仏教と呼ぶ。この頃の仏教の学説は四種に分類され、その中に「中観派」や「瑜伽行派」などがある。「瑜伽行派」はヨガを実践する人々の事であり、般若経にもとずき龍樹によって確率された大乗仏教の「空」観に基づいたものである。この事からもヨガが我々日本人にとってなじみ深い仏教とも密接に関わっていた事が伺える。

【六派哲学とヨガ・スートラ】

BC120年-600年頃 クシャーナ王朝からグプタ王朝にかけて多くの哲学学派が発達していく。中でも正統バラモン思想の6つの学派「サーンキャ学派」「ヨーガ学派」「ニヤーヤ学派」「ヴァイシェーシカ学派」「ミーマーンサー学派」「ヴェーダーンタ学派」を「六派哲学」と呼ぶ。各学派は「スートラ」と呼ばれる根本経典を持っており、今日のヨガの経典として重要な文献である「ヨガ・スートラ」はこの「ヨーガ学派」の根本経典である。 <ヨガ・スートラ>ヨーガ学派の開祖であるパタンジャリによって2-4世紀頃成立したと考えられる。ヨガ自体の起源についてはインダス文明に出土品が見られる事からアーリア人が侵入する以前の可能性もあり、学派自体もかなり早い段階で成立していたともされるが、最古の文献はこのヨガ・スートラである。仏教、サーンキャ学派等とも密接に関わっている。ヨーガ学派の考える「解脱」は多くの学派の解脱の境地と一致する為に、様々な学派や宗派にヨガの修行が解脱への道のりの実践方法として採用され、ヨガ自体も多くの流派にわかれていった。 ヨガ・スートラは4つの章から成る。

第一章「Samadhi pada」( サマディパダ)では、ヨガの目的とは何か、解脱とは何かが書かれている。

第二章「Sadhana pada」(サーダナ・パダ)では、ヨガを具体的にどう行っていくかが。

第三章「Vibhuti pada」(ヴィブーティ・パダ)では、悟り解脱の状態とはどういう状態でどういう段階を経て訪れるか。

第四章「Kaivalya pada」(カイヴァリヤ・パダ)には、補足事項が記載されている。

 

 

<アシュタンガ八支則>

第二章の「Sadana pada」(サーダナ・パダ)に書かれているヨガの具体的練習方法をアシュタンガ八支則といい、現代のヨギー達もこの方法に基づきヨガの練習を行っている。

1.Yama(ヤマ) 自分が自分以外の他のものとどう接するべきかが書かれている。ヤマは全部で5つある。

・Ahimsa(アヒムサ) 非暴力 すべてのものに対して傷つけないこと。 対自分、対人間だけでなく、他の生き物やすべてのものに 対してを指している。

・Satya(サティア)真実 正直であること。嘘をつかない。自分のエゴ主体の嘘を 指していて、本当の事だからと言って他人を傷つける言葉を 相手に伝えることとは別である。

・Asteya(アステヤ) 非貪欲 盗まないこと。

・Brahmacharya(ブラフマチャリヤ) 禁欲 過度の性に対する執着を持たないこと。

・Aparigraha(アパリグラハ) 非所有欲 自分にとって本当に必要なものは何かを知り、 必要以上に欲張らない。欲望は限りがないものである。

2.Niyama(ニヤマ)

自分が自分自身とどう接するか。守るべき事柄。

・Saucha(シャウチャ) 身体と心の浄化

・Santosha(サントーシャ) 満足 物事はすべて自分がどう捉えるかである。 自分自身や今の自分自身の状況に感謝し、 満足することが大切である。

・Tapas(タパス) 修練、努力 何事も継続的な努力をすることが大切である。 それは身体、精神ともにである。

・Svadhyaya(スワディヤーヤ) 聖典を学ぶ 聖典を通して正しい知識を知ること。正しい知識とは、 死への恐怖や私たち自身は身体でも心でもなく アートマン(真我)であること。

・Ishvarapranidhana(イーシュヴァラプラニダーナ)神への祈念 目の前に見えているものだけでなく、神聖なものを感じ、 祈ること。

3.Asana(アサナ) 身体の練習

4.Pranayama(プラーナヤーマ) 呼吸 、生命エネルギーの運動

5.Pratyahara(プラティヤハーラ) 感覚、五感を閉じ込める

6.Dharana(ダーラナ) 一点集中

7.Dhyana(ディヤーナ) 忠実な瞑想

8.Samadhi(サマディ) 悟り、解脱

 

ヨーガ・スートラ

1-1 Atha yoganusasanan これからヨガをはじめます。

1-2 Yogas chitta vritti nirodhah ヨガとは心の作用を止滅させることである。

1-3 Tada drashtuh svarupe vasthanam そのとき、見る者(自己)は、それ本来の状態にとどまる。

2-1 Tapas svadhyaya isvara pranidanah kriya yogah 自己練習すること、勉強すること、献身すること、これらは全てヨガの行為である。

2-3 Avidyasmita raga dveshabhinivesah klesah 無知、自己中心(エゴ)、執着、憎悪、死への恐怖は五つの障害(煩悩)である。

2-29 Yama niyama asana pranayama pratyahara dharana dhyana samadhayo’shtav angani ヤマ、ニヤマ、アサナ、プラーナヤーマ、プラティヤハーラ、ダーラナ、ディヤーナ、サマディは8つのヨガの過程である。

2-30 Ahimusa satyasteya brahmacharyaparigraha yamah ヤマはアヒムサ、サティヤ、アステヤ、ブラフマチャリヤ、アパリグラハより成る。

2-32 Saucha samtosha tapah svadhyayesvarapranidhanani niyamah ニヤマはシャウチャ、サントーシャ、タパス、スワディヤーヤ、イーシュヴァラプラニダーナより成る。

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